●神谷バー
いや、ここをバーと呼んでいいのか実は微妙である。
桜も満開をややすぎ、はらはらと花びらが舞い始める頃、浅草で隅田川きもの園遊会なるイベントがあり、せっかくなので着物で
行ってきた、その帰り、駅前に堂々とあるその電気ブランで有名な店構えに、是非とも寄らねばならないとのある種使命感のようなものを感じて入店。
なぜバーと呼んでいいのかは行った人ならわかると思うが、基本的な作りと言うかスタンスは大衆食堂というか、昔のデパート最上階のレストランと言うような雰囲気だからである。
どうも着席にもルールがあるらしく、なんとか席を見つけ、電気ブランの食券(!)を買ってちょっとお年を召されたフロアレディー(!)に渡す。
専用のシャレたショットグラスで供されるそれは、微妙に甘く、その割には飲みやすい不思議な飲み物であった。
もちろんコニャックではないし、ブランデーにさえカテゴライズされないものではあるが、この店の雰囲気、ビールよりも安いその価格から長く大衆に親しまれてきたのであろう歴史を想像するのは難しくない。